脳トレで禁酒 | 薬剤師トピックス

禁酒を思い立って初めてみたものの、三日坊主で終わってしまったという話はよく聞きます。

飲酒の誘惑には勝てずに、ついついお酒に手が伸びてしまいます。

決心してもなかなか禁酒できない

飲酒の悪い習慣を直そうと、論理的に考えて、禁酒することのメリットと、飲酒することによるデメリットを並び立てて自分に言い聞かせるというようなことをする人もいます。

禁酒することによって、睡眠の質が良くなり、朝の目覚めもすっきりするといったメリットを想像したり、飲酒によって、お金がかかったり、太ったり、健康がむしばまれるといったようなことを想像したりしますが、だいたいこうした意識的な努力はあまり効果がなく、失敗してしまうことが多く、ついつい誘惑に負けて、冷蔵庫を開けて缶ビールをプシューっと開けてしまうといったことになってしまいます。

なぜこのようになるのかというと、いくら決意したとしても、無意識にうちに脳が働いて、アルコール摂取の欲望に駆り立てられてしまうからです。

「注意バイアス」といって、普段からよく飲酒をしているお酒好きの人は、飲酒を連想させるような場所や光景、匂いなどに無意識に注意が引き付けられてしまっていて、飲酒の衝動が高まってしまうのです。

したがって、そうした脳のクセ自体を修正していかなければならないのです。

禁酒脳トレ

そこでその脳のクセを修正させるべき注目されているのが、注意バイアスの修正に特化した脳のトレーニングです。

これは、コンピューターのプログラムを使って、飲酒を連想させる刺激を無視して、飲酒に関係がないニュートラルな刺激や、健康的な活動を連想させるポジティブな刺激に注意が向くように条件付けをしていくのです。

どのようにするのかというと、パソコンの画面に、酒瓶などの画像、ミネラルウォーターの画像などが次々と現れ、それをジョイスティックを使って、飲酒関連の画像を遠ざけ、健康的な画像を引き寄せる操作をしていくのです。

これを繰り返すことによって、飲酒関連の刺激を無意識に避けるようになるというのです。

実際に、この脳トレ訓練で、再発率を低下させることができ、ドイツにおいては、この脳トレが、アルコール使用障害の治療のガイドラインで推奨され、複数の滞在型リハビリ施設で導入されています。

もっと実際の効果が証明されていけば、日本においても幅広く行われるようになるかもしれません。

注意バイアスで衝動的行動をコントロール

いろいろな研究で、注意バイアスが減少すると衝動的行動が減少することが示されました。

禁酒の脳トレということでしたが、この方法は、やめたいもの、例えばタバコなどにも応用が利くのかもしれません。

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