ヒトはなぜ現状維持なのか | 薬剤師トピックス

ヒトは変化を恐れ、現状維持思考の傾向があります。

現状維持バイアス

これは、『現状維持バイアス』の影響で、現在の状況に価値を見出しているから起こってきます。

心では、「変わらなきゃ」と思っていても、最初の1歩が踏み出せないでいるといった場合も、『現状維持バイアス』が影響しているのです。

現状維持バイアスは、誰でもなりやすいものです。

例えば、レストランに入ったときにいつも食べなれているものを注文したり、いつも同じレストランに入ったり、ショッピングをしてもいつも使い慣れているものしか買わなかったりといったものは、現状維持バイアスの代表的なものです。

ヒトは、変化して良くなる可能性もあるかもしれませんが、変化して損失が出てしまった場合の悲しみが大きいと判断してしまう傾向があります。

問題先延ばし

会社の会議などでも、問題・課題が先延ばしになったりすることがありますが、変化が必要なときに現状維持バイアスが働いてしまうと、今のままで十分だということで、課題の先延ばしが起こりやすくなります。

また、現状維持バイアスが強いと、たとえせっかく変化したとしても、前の方が良かったと後悔を感じてしまったりします。

変化したいと感じていても、なかなか踏み込めない場合は、第三者に相談してみるというのも一つの方法です。

また、急激に変化するのではなく、変化する度合を小さくしてみて、それを大きな変化につなげていくと良いでしょう。

それでも、リスクが気になってしまうという時には、リスクを客観的に評価できるように数値化して、不安要素を取り除くということも必要になってくるかもしれません。

ヒトの脳のクセ、プロスペクト理論とは

「プロスペクト」は、英語で「予想・見通し」という意味を持っています。

プロスペクト理論は、行動経済学の出発点にもなった考え方で、カーネマンとトヴェルスキーが提唱したもので、人の心の中には、得をする喜びや損をする悲しみなどの判断を分ける基準点である参照点(リファレンス・ポイント)があると言います。

プロスペクト理論では、ヒトが主観的に感じる喜びや悲しみの大きさを価値関数で示します。

縦軸に価値、横軸に相対的な損失を取ります。

そうすると、1万円を得る喜びよりも、1万円を損する悲しみの方が大きくなっています。

ヒトはどうしても損失は避けたいという意識が強く、利得よりも損失の方が、2~4倍程度、重く受け止めてしまうと言われています。

だからこそ、課題をついつい先延ばしにしてしまったり、現状維持バイアスがかかったりしてしまうのです。

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