他者の行動で変わる子供の行動 | 薬剤師トピックス

子供は他者の行動、そしてその行動によって起こった結果をよく見ています。

そして子供の行動は、そうしたものに大きく影響を受けるという研究報告があります。

観察学習(モデリング)とは

子供は常にいろいろなものを学習していきますが、学習にも2通りあります。

本を読んだり、直接的な経験を通して学習していく場合と、他の人の行動をみて学習する場合があります。

よく子供に暴力的な漫画やアニメ、または性的な描写のものを見せるのは良くないと言われていますが、これは他の人の行動をみて学習してしまう懸念があるからです。

このように他の人の行動をみて学習していく場合は、観察学習、別名もモデリングと呼ばれたりします。

これを提唱したのが、カナダ人の心理学者であるアルバート・バンデューラで、学習は学習する個体(人間や動物)自身の経験を前提とするとしていた従来のものに加えて、社会的学習理論(モデリングによる学習)、つまり学習が他の固体の行動を観察することによってもなりたつことを実証しました。

空気入りのビニール人形を用いたパンデューラの実験

カナダ人のパンデューラという心理学者が、3歳から5歳までの男女の子供を4つのグループに分けて、それぞれ攻撃的モデルの映像または非攻撃的モデルの映像を見せるという実験を行っています。

映像を見せられた子供たちはその後、子供たちをおもちゃがある部屋に移され、モデルの攻撃行動を観察されます。

A~Dの4グループに分けられた
Aグループには、大人が相手を攻撃し、その結果報酬を得るという映像を見せます。
Bグループには、大人が相手を攻撃し、その結果返り討ちにあう映像を見せます。
Cグループには、2人の大人が仲良く遊ぶ映像を見せます。
Dグループには、映像を見せません。

それぞれのグループの映像をみた子供たちを、さまざまなおもちゃがある遊戯室に連れて行き、その行動を観察しています。

その結果、非攻撃的なモデルを見たCグループの子供たちや、何も映像を見なかったDグループの子供たちに比べると、攻撃的な映像をみせられたAグループの子供は、攻撃行動が多くなっている傾向が見られました。

一方、攻撃によって罰を受けたBグループの子供たちは、逆に攻撃行動がやや少ないという結果がでています。

他人の結果によって行動は変化する

まとめてみると、攻撃的モデルを観察学習(モデリング)することで、人は攻撃行動をとりやすくなります。

しかし、その攻撃の結果、対象が何らかの怪我や罪といった罰を受ける場合は、攻撃行動を控える可能性が高くなるのです。

このように、他者の行動の結果によって、対象の行動が促進されたり抑制される現象を心理学的には『代理強化』と呼んでいます。

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