語順や語尾を変えるだけで伝わり方が変わる日本語の妙 | 薬剤師トピックス

日本は、YES-NOをはっきりさせない腹の文化ともいわれますが、日本語もちょっと語順を変えたり、語尾を変えるだけで、相手が受け取る印象がガラリと変わってくる場合があります。

たった助詞1文字で、ガラリとニュアンスが変わる日本語の難しさ

働いていると、相手にA or Bといった具合に、複数の選択肢の中から、選択をせまる場面も出てきます。

まずは常識問題。
あなたが、取引先の応接室に通されて、次のように言われたとします。
「お茶がいいですか? それとも珈琲がいいですか? 紅茶がいいですか?」

こんなとき、まさかとは思いますが、つい「お茶でいいです。」と答えてしまうのはNGです。
「ありがとうございます。」をつけるつけないの問題はあるにしろ、「お茶がいいです。」とか「お茶をお願いします。」が正しい答え方でしょう。

なぜならば、「お茶でいいです。」であれば、もっと飲みたいものあるんだけど、お茶か珈琲か紅茶で選ぶなら、まあお茶でいいやというニュアンスが伝わって失礼になってしまうからです。

助詞の「で」と「が」の違い、たった一文字ですが、これほどまでにニュアンスが違ってきてしまうというのが日本語なのです。

お薦めの案をYESと言わせたいときの「~ですよね」

あなたが、もし上司だったとして、部下からこんなふうに言われたらどうでしょう。

「先方に出す見積もり、A案でいいですか?」
「先方に出す見積もり、A案でいいですよね?」

語尾が違うだけですが、かなりニュアンスが違って聞こえ、後者の言い方の方が、同意しやすい、つまり同意を得やすいはずです。

「いいですか?」の聞き方は、相手にYES or NO を求めるお伺いになります。
「いいですよね?」の問いかけは、確認の意味合いが強く、よほどのことがない限り、相手はあまり間をおかずにYESの意思表示をするものです。

もう一つ、「いいですよね?」の問いかけは、実際に、その見積もりを誰が作成したかに関わらず、私たちがつくり、私たちが提案する見積もりというニュアンスが出てきて、双方の間に不思議な連帯感を生み出したりもします。

ちょっと語尾を工夫するだけで、承認される可能性が高まるのです。

どうせ褒めるなら、効果的な語順で

褒め上手であれば、相手からのウケもよくなり、自分の印象もよくなるはずです。
もちろん、しらじらしいウソはダメですが、相手の長所をやや強調して褒めるのは、コミュニケーションを図るうえでも、自分の印象をよくするのにも利用できるテクニックです。

例えば、デートで相手から次のように言われたらどちらが嬉しいでしょうか?

「そんなことにも詳しいなんて、物知りでスゴイ!」
「物知りでスゴイ! そんなことにも詳しいなんて」

「こんなお店を知っているなんて、情報通でセンスあるよ!」
「情報通でセンスあるよ! こんなお店を知っているなんて」

どちらも語順を入れ替えただけですが、たぶん多くの人は、後者の語順のほうが、感嘆や尊敬のニュアンスが色濃く伝わってくるので、嬉しいと思います。

このように、語順をちょっと工夫するだけでも、相手への伝わり方が変わってくるのは、日本語の妙と言うべきところなのかもしれません。

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