革新的暗記法 「A3用紙まとめ勉強法」

革新的暗記法 「A3用紙まとめ勉強法」

速く覚える、長く忘れない、大量に覚えるということになると、記憶術などの記憶法が思いつく人も多いかと思いますが、効率が良い勉強法とも深く関係してきます。
そこで、革新的暗記法「A3用紙まとめ勉強法」をご紹介します。

「A3用紙まとめ勉強法」とは

受験勉強にしても、資格試験にしても、覚えなくてはいけないことがいっぱいあります。
しかし、分厚い参考書などを復習などのために何度も繰り返すのは、それだけでも多くの時間がかかってしまいます。


そこで、革新的暗記法速く覚える、長く忘れないはもちろん、大量に覚えるための暗記法膨大な暗記量を攻略する「A3用紙まとめ勉強法」をご紹介します。


学習内容を、A3用紙にコンパクトにまとめるというものですが、ボリューム的には、一つの科目を10から20ぐらいの学習範囲に分け、それぞれの範囲についてA3用紙2枚から3枚ぐらいにまとめてみることがオススメです。
このボリュームについては、もっとしっかり勉強したいとか、難関な学校や高度な資格試験を考えているというのであれば、一つの学習範囲についてA3用紙5枚ぐらいにまとめると良いでしょう。


学習目的に合わせたボリューム設定については、学習目的や試験の目指すレベルや状況に合わせて、1範囲あたりの枚数を調整していくと良いでしょう。
学習内容やまとめ方、個人差もありますが、わかりやすいように目安の例をあげてみました。

標準的な学習:
 1範囲につきA3紙2~3枚(科目全体で30枚程度)
難関校・高度な資格:
 1範囲につきA3紙5枚(科目全体で50~100枚程度)
抜け漏れほぼなく網羅したい:
 科目全体を100枚規模
時間がない場合:
 1範囲につきA3用紙1枚
試験直前の総仕上げ:
 既習事項を省き、重要点や苦手箇所に絞って
 全体で1~10枚に凝縮

ピンとこない人もいるかもしれないので、参考として、世界地理について、全範囲をA3用紙10枚にまとめた時のボリューム感について目安をつくってみました。
また、世界地理の範囲の一つとして、ヨーロッパについてA3用紙5枚にまとめた時のボリューム感についても作ってみました。
さらに、もう少し詳しくボリュームを倍にしてA3用紙10枚についてヨーロッパをまとめたときのボリューム感についても一つの例として作ってみました。

これらで、なんとなくそのボリューム感がわかるかと思いますので、どのくらいのボリュームでまとめようかと考えるときの参考にしてください。

トヨタがヒント!

実は、A3用紙数枚にまとめて学習するという手法の背景には、トヨタ自動車のビジネス推進手法である「A3文化」というものをがあります。
トヨタでは、複雑な問題解決プロセス(8STEP)A3用紙1枚に集約しているようです。
A3用紙を横長に使うことで、「ページをめくらずに全情報を一覧できることから、論理の流れを一目で把握できるという大きなメリットがあります。

参考:
『トヨタで生まれた A3報告書』 
岡本満、ジョン・シュック監修(日刊工業新聞社)

A3用紙数枚にまとめるメリット

なぜA3まとめが効果的なのかを脳科学の視点からもう少しみていくと、
「情報のスキミング(精査)」
「情報の構造化(チャンキング)」
があげられます。

「情報のスキミング(精査)」
A3用紙1枚という限られたスペースには、すべての情報は入りません。そのため、作成過程で「情報のスキミング(精査)」という重要な工程が発生します。
何が重要で何が重要でないかの取捨選択し、コンパクトな表や図解に落とし込んでいきます。
何か効率が良いグルーピングはないか、もっと効率が良いまとめ方はないか考える過程で、理解が深まり、全体の流れや関連性が見えやすくなり、短時間での効率的な復習・暗記が可能になってきます。
こうした選別作業が記憶を大きく助けることになるのです。
「情報の構造化(チャンキング)」
チャンキングとは、情報を「チャンク(塊)」という扱いやすい単位にグループ化することで、これにより関連性が見えてきます。
すると鳥の目つまり全体俯瞰が容易になり、学習内容を「独立した点」ではなく「つながった線」として捉えることができるようになるため、脳はより記憶しやすくなります。
教科書や参考書をパラパラめくるのと違い、情報のつながりが一枚の紙で見渡せるようになるので、脳は鳥の目で全体像が把握できます。


さらに、A3用紙1枚にまとめていくことで、空間記憶の活用もできます。
「あの紙の右下にあった」という場所の記憶つまり空間記憶が、試験本番で情報を引き出すフックになったりもします。

A3用紙数枚にまとめるデメリット

ものすごく良い勉強法のように思われる『A3用紙まとめ勉強法』ですが、やり方を一歩間違えると、ただ綺麗な紙を作って満足しただけで終わりという罠に陥るリスクがあるので注意が必要です。


時間をかけすぎた「工作」にならないように、装飾や字の美しさにこだわりすぎないことが大事です。
目的は、試験で点数をとるためですので、「自分さえ読めればいい」と割り切り、独自の記号や略号を活用していくとよいでしょう。


覚えるのが目的なので、出来栄えは60点くらいでOKと割り切り、作成に時間をかけすぎず、後から修正や追加をすればいいというスタンスでいくのが継続のコツです。


カラフルに色を何色も使う人もいますが、色はあまり多くを使うと、作成に手間がかかったりしてしまうので、3色以内に抑えると良いでしょう。
たとえば、黒で基本情報、青は専門用語やポジティブな関連性、赤は重要キーワードや注意点、ネガティブな関連性といったように、自分なりのルールを決めていくとよいでしょう。

A3用紙にコンパクトにまとめることが有効な根拠

A3用紙数枚にまとめる方法、図解・表まとめの有効性はいろいろと証明されています。


トヨタのA3報告書

トヨタ自動車では、どんなに複雑なプロジェクトも「A3用紙1枚」に図解してまとめるという『トヨタのA3文化』があり、「1枚にまとめる過程で本質的な思考が強制される」ことと、「一目で全体像が把握できる」ことの合理性が実証されています。

「二重符号化説」

カナダの心理学者アラン・パイヴィオにより提唱されたもの
脳は情報を「言語」と「イメージ(図)」の2ルートで処理します。文章だけでなく図表を併用することで、記憶の保持率は高まり、思い出す確率は約2倍になるとされています。

<参考>
『Imagery and Verbal Processes』:Allan Paivio著, 1971年 Holt, 出版 Rinehart and Winston

認知負荷理論

オーストラリアの教育心理学者ジョン・スウェラーにより提唱。
脳のワーキングメモリつまり一時的な処理スペースには限界があり、容量はとても少なくせいぜい5〜9個の情報を20秒程度保持できるレベルなのです。
したがって、この限られた「ワーキングメモリ」の容量をいかに効率的に使用するかが快適な学習を実現するための鍵となるわけです。
情報を一箇所にコンパクトにまとめ、情報の検索コストを下げることで、効率的に長期記憶へ送り込めます。

<参考>
Cognitive Load During Problem Solving: Effects on Learning. Cognitive Science12(2),1988, p257–285
Cognitive Architecture and Instructional Design. Educational Psychology Review 10(3), 1998, p251–296

コンセプトマップの研究

コンセプトマップ (concept map) は、日本語で「概念地図」とも呼ばれ、アイデアを整理して理解しやすくするために、情報を視覚的に表現するものです。
コーネル大学名誉教授ジョセフ・ノバックが提唱した「コンセプトマップ(概念地図)」は、知識を網目状に図解する学習法です。
単なる丸暗記(Rote Learning)ではなく、既有知識と新知識を結びつける「有意味学習」を促すため、情報の整理や長期的な記憶保持に極めて高い効果を発揮します。

<参考>
The use of concept mapping and knowledge vee mapping with junior high school science students. Science Education 69(4), 1985, p441-454

視覚的にまとめるまとめ方の4つの鉄板パターン

A3用紙に効率よくまとめるには、次のまとめ方の鉄板4パターンをうまく利用していくと良いでしょう。
コンパクトに視覚的にまとめるまとめ方の4つの鉄板パターンについてご紹介します。


一覧表(比較マトリックス)

複数の項目を共通の軸で比べる時に力を発揮します。
例えば、横軸に「国名(フランス、ドイツ、イタリア)」、縦軸に「気候、主要農産物、エネルギー源、主要工業」を置きます。
こうすることで、フランスは原子力だがドイツは再エネといった違いが際立ち、記憶に残りやすくなります。
歴史であれば同時代の他国比較・乱や条約の比較、物理であれば波動の種類(縦波・横波)や力学法則、化学であれば元素の族ごとの性質や酸化・還元、生物であれば細胞分裂の有糸・減数の比較やホルモン比較などに使えますし、数学でも2次・指数・対数の比較をしても面白いかもしれません。

中心図解(セントラル・マップ)


位置情報(空間記憶)、関連性などをまとめたいとき知識がダイレクトに結びつきます。
例えば、A3の用紙の中央に「簡略化した白地図」を描き、そこから矢印を伸ばしいろいろな情報を入れていきます。
地図の中に文字を詰め込まず、外側の余白に情報を書き込んでいくと良いでしょう。
歴史であれば時代や都市を中心とした相関図に使えますし、物理は中心公式との関係性や派生をまとめることができます。科学であれば周期表、特定の物質の性質などをまとめても良いですし、生物であれば細胞や組織の構造に使えます。


ロジック・フロー(原因と結果の矢印)


「なぜそうなったか」という流れを可視化していく方法で、全体が理解できるため忘れにくくなります。
例えば地理だと、北大西洋海流+偏西風 → 高緯度でも温暖 → 混合農業のように、3~4ステップの矢印で因果関係をまとめることができます。
こうしたまとめをすることでより理解が深まります。
生物では血液循環、神経伝達のプロセスなどに、化学では有機化学の反応経路などに、歴史では事件の背景の理解などに役に立ちます。


ピラミッド・ツリー(階層構造)


情報の重要度や分類を整理する方法で、このまとめ方をすることで、脳内での情報の「棚卸し」がスムーズになります。
地理でいえばEUの組織構造や、農産物の分類(穀物、工芸作物、飼料作物)などに使うと良いでしょう。
化学では物質の分類、生物で分類学、英語では品詞の分類や句・節の構造などのまとめに使うと良いでしょう。

革新的暗記法(膨大な暗記量を攻略する「A3用紙まとめ勉強法」)

まとめ動画:革新的暗記法(膨大な暗記量を攻略する「A3用紙まとめ勉強法」)