コロナ禍において、他人が近づくと不快に感じる距離が長くなったという人もいるかもしれませんが、他人が近づくと不快に感じる距離は、もちろん個人差もありますし、環境や置かれている状況、そして相手とに関係性、つまり人間関係によっても変わってきます。
他人が入ってくると不快に感じるパーソナルスペース
他人がそれ以上近づくと不快に感じる距離は、『パーソナルスペース』と呼ばれます。
例えば、私たちは、満員電車に乗ったり、満員のエレベーターに乗ると、ストレスを感じます。
これは、本来これより近づいてほしくない距離よりも近くに、他人がいるからです。
このパーソナルスペースは、相手との人間関係の深さによっても変わってきますし、個人差もあります。
一般的には、外交的な人と内向的な人では、内向的な人のほうがパーソナルスペースを広く取る傾向があります。
人間関係にみるパーソナルスペース
例えば、家族や恋人が近くにきても不快に感じなくても、同じ距離に会社の同僚がくると不快に感じたりします。
通常パーソナルスペースには、米国の文化人類学者のエドワード・ホールによると、密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離の4つのゾーンがあります。
密接距離は、0~45cmで、この距離の中に入ってきても不快に感じないのは、家族や恋人ということになります。
個体距離は、45~120cmで、友人などであれば、この距離に近づいてきても不快に感じません。
社会距離は、120~360cmで、社会関係者、例えば仕事の同僚や普段あっている上司や取引先の人間との距離になります。
公衆距離は、360cm以上で、講演会や演説などを行っているときにとられる距離になります。
男女のパーソナルスペースの違い
パーソナルスペースは、男女でも違いがあるようで、女性は円形、男性は縦長の楕円形になっています。
男性のパーソナルスペースは、左右よりも前後に広くなっている一方、女性のパーソナルスペースは、左右前後ほぼ同じ距離になっています。
男女がお互いに正面に向かい合って立って、その距離を徐々に縮めていった場合、男性はパーソナルスペースが前後に広いので、女性からしてみると、正面にいる男性がまだパーソナルスペースに入ってきていない段階からでも、男性側からしてみればすでに正面の女性がパーソナルスペースに入ってくる感じになるので、男性のほうが落ち着かない気分になり、ドキドキしたり、不快に感じたりするようになります。
逆に男女が横並びに並んで、その距離を徐々に縮めていくと、男性は左右のパーソナルスペースが狭いので、女性が近くにきても不快に感じたりしませんが、女性は前後左右だいたい同じぐらいのパーソナルスペースがあるので、女性が男性のパーソナルスペースに入るより前に、男性が女性のパーソナルスペースに入ってきます。
従って、横に並ばれると女性のほうが落ち着かない気分になりやすく、ストレスに感じやすいのです。