若者と高齢者の五感は違うことを考える | 薬剤師

人間は悲しいかな、本当にその人の立場にならないと、真のその人の感覚はなかなかわかりません。

例えば、友達が骨折をしていて大変だなとは思っていたものの、自分も骨折してみて、本当にその不自由さについていろいろとわかったというような感じで、実際に自分が同じような状態になりはじめて気づくこともあります。

高齢者の感覚

バスを乗降や店でのお金の支払いなどで、高齢者がなかなか財布から小銭を上手く取り出せず、おぼつかない手つきでお金を払っているのに、もう少し速くしてよ! こっちは急いでるんだから・・・と思ったことがある人も少なくないでしょう。

しかし、高齢者の手の感覚を体感するのに、手袋をはめるという方法があるようです。たしかに、実際に手袋をはめて財布の小銭を取り出すとなると、すごく取り出しにくいことがわかります。

しかし、若いうちはこうした感覚はわかりません。

特に、高齢者を相手にする場合は、自分が体感できないまでも、知識として知っておくだけでもその対応が違ってきます。

高齢者での感覚の衰え

高齢者は一律に感覚が衰えていくものではなく、五感によってその衰え方にも差があることも理解が大切です。

視覚の衰え

視覚の衰えというと、高齢者になると老眼になったり、白内障になったり、緑内障になったりということが一般的に言われています。
特に老眼は、比較的若いうちからはじまり、40代半ば頃からはじまり、50代にはいると本がかなり読みにくくなってりしてきます。
もう60代になると、老眼鏡を使わないとつらいという感じになります。
白内障に至っては、50代では半数以上の人のい、80代を超えると99%が白内障になるといわれていて、白内障になると、暗い所と明るい所が見えにくくなります。

聴覚の衰え

耳が聞こえづらくなるいわゆる難聴は、50代後半からはじまってきて、60代後半では急速に症状が進みます。
高い音から次第に聞き取りづらくなります。
だんだんと複数の音声の聞き分けがしにくくなってきて、多くの出演者が同時にしゃべるテレビ番組などは観るのがいやになったりしてきます。
生活においても、例えば体温計のピピッ!という音が聞こえず、いつまでも脇の下に体温計を挟んだままということも起こってきます。

嗅覚の衰え

実は、嗅覚については50~60代までは年齢とともに機能が高くなると言われています。
でもさすがにそれ以降は機能が低下し、70代からの機能低下が著しくなっています。
歳をとると味を感じにくくなるというのも、嗅覚も少し原因していると言われています。

味覚の衰え

味覚はだいたい60代ぐらいから衰えてきて、そのため歳をとると味付けがだんだんと濃くなる傾向があります。
同じものを食べていても、昔のほうが美味しかったなというような感覚をもつ場合もあります。

触覚の衰え

触覚は、50代から衰えはじめてきて、70代には顕著になります。
手に持っているものの感覚が弱くなるので、物を落としやすくなったり、温度感覚も鈍るためやけどもしやすくなります。

高齢者の感覚を体感するために

なかなか理解することが難しい高齢者の感覚を体感するような方法もあります。

聴覚については、ヘッドホーンをつけることで、高音性難聴を再現することができます。ヘッドホーンをつけることで、人がしゃべっている言葉の明瞭度がオチ、内容が聞きづらいという体感ができます。

視覚については、特殊なメガネをかけることで、白内障等によって起こる物がぼやけて見えたりする状態や、視野が狭くなったりするといったことを体験することができます。

手の感覚については、手袋をすることで、細かい作業がしにくくなったり、物をつかみにくくなったりという体感をすることができます。

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