処方箋がないのに注射薬を渡したらダメ? | 薬剤師トピックス

薬剤師が処方箋なしに、注射薬を渡したりしたらダメなのでしょうか

注射薬であれば、医療用医薬品になりますので、原則は医師の処方箋なしで調剤し渡したりすることはできません。

処方箋なしでも渡せる注射薬

薬剤師法には、次のような規定があります。
「薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方箋によらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。」

医師法にも次のような記載があります。
「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護にあたっている者に対して処方箋を交付しなければならない」

だから処方箋なしで医療用医薬品である注射薬を渡したりすることはできません。
医師もきちんと処方箋を出して注射薬を使ってもらうようにしなければなりません。

しかしこれは、原則の話です。原則ということは例外もあります。

その例外が医師法に記載されています。
「ただし、患者又は現にその看護に当たっている者が処方箋の交付を必要としない旨を申し出た場合及び次に該当する場合においてはこの限りではない」

つまり条件付きではあるものの、処方箋なしで医療用医薬品を調剤し渡すことができる場合もあるのです。

処方箋なしで注射薬を渡せるケース

それでは、例外として該当する場合にはどういったものがあるのかというと次のようになっています。
「状況の短時間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合」
「診断又は治療方法の決定していない場合」
「治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合」

緊急かつ患者の生命に影響を及ぼす可能性が高いと判断された場合には、医師と相互確認の上で薬を調剤することになっています。

そして調剤に関しては、処方箋を事後に交付依頼して、調剤済みの旨などを処方箋に記載して保管するようにします。

何が大事なのかを考える

医療を行うにあたって、一番大切なことは、患者の命であり、安全性です。

多くの事項では、大原則がある一方で、例外もあります。
こう考えると、緊急時や応急措置をする際に、迅速に措置をすることが大事だということは明らかです。

緊急医療の現場では、緊急を要する事態が日常茶飯事起こってきますが、口頭指示による薬の調剤なども行われています。

口頭指示によって薬を調剤すると、ちょっとした薬の名前を聞き間違えたり、勘違いしたりということで、類似薬との取違いのリスクが高くなってしまいます。できるだけ口頭指示は控え、指示の記載を原則にすることが大切と言えるでしょう。

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