

アルツハイマー型認知症の進行度、重症度を評価するためのスケールとして、FAST(Functional Assessment Staging of Alzheimer's Disease)というスケールがあります。
アルツハイマー型認知症の状態をスクリーニングする方法としては、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール:Hasegawa’s Dementia Scale-Revised)やMMSE(ミニメンタルステート検査:Mini Mental State Examination)がありますが、これらは質問形式で行っていくものになっています。
FAST(Functional Assessment Staging of Alzheimer's Disease)は、これに対して患者を観察することで得られる情報、家族や介護者へのヒアリングによる情報をもとにして評価を行っていきます。
FASTには7段階あって次のようになっています。
FAST1は正常、FAST2は年相応で、物の置き忘れや物忘れなどがあったりします。
FAST3は境界黄体で、熟練を要する仕事の場面では、機能低下が同僚によって認められ、新しい場所に旅行することは困難になってきます。
FAST4は、軽度のアルツハイマー型認知症で、夕食にまねく段取りをつけたり、家計を管理したり、買い物をしたりする程度のことでも支障をきたしてきます。
FAST5は、中程度のアルツハイマー型認知症で、介護なしでは適切な洋服を選んで着ることができなくなり、入浴時は説得が必要になったりすることもあります。
FAST6は、やや高度のアルツハイマー型認知症で、不適切な着衣などがみられ、入浴には介助が必要で、トイレの水を流せなくなったり失禁があったりします。
FAST7は、高度のアルツハイマー型認知症になります。
弄便(ろうべん)は、文字通り便を弄る(いじる)ということで、自分が排泄した便を手でいじったり、それを壁や服になすりつけたりする行為で、不快な悪臭、不衛生で、ショックですが、弄便も暴言や暴力と同じように、アルツハイマー型認知症が重症化してくるFAST6になってくると多くみられる症状の一つです。
弄便は、便を便だと認識できていないために起こる行動だと推測されています。
アルツハイマー病、嗅覚が衰え、便の臭いが認識できず、他の物と誤認してしまったりして、床の上などにあると、形状が似ているかりんとうやチョコレート、あんこなどと誤認してしまう可能性もありますし、便を口に入れてしまうということも考えられます。
手について汚れをどうにかしようとして自分の服で拭いてしまっている場合もあります。
認知症で本人が便だと認識がないものを、カッとなって叱りつけても、なぜ怒られているのか理解できないでしょう。
そして突然怒られたという不快感が強く残ってしまい逆効果になってしまいます。
外語の専門職は、このような排泄の失敗が起こった場合、「スッキリしてよかったですね。」と声かけをするようにしているそうです。
認知症の人は、腸の働きが衰えて便秘がちになって、腹痛や残便感などでストレスをため込んでしまう人が多く、弄便があった場合でも、便が出たこと自体は喜ばしいことなのだそうです。
介護ストレスがたまり、どうしてもつらいときは、一人で抱え込まず、誰かに相談することが大切です。
