厳しさを増す門前薬局 | 薬剤師トピックス

厳しさを増す門前薬局 | 薬剤師トピックス

『門前薬局』は、病院やクリニックのすぐ近くにあって、近隣の医療機関からの処方箋に基づいて、薬を調剤したり販売したりする薬局のことをいい、医薬分業の推進で増えてきました。
厚生労働省は、医師と薬剤師の専門性を活かすために、医薬分業を進め、その結果、昭和49年に診療報酬の改定があって、この時処方箋料が100円から500円へ大幅にジャンプアップしました。
これに伴って、医療機関にとっては収益が見込めるとあって、院外処方線がどんどん増えていき、調剤薬局の需要が急速に高まっていきました。
日本薬剤師会によると、医療機関の7割以上が院外処方を選択していて、院外処方の数も年々増加傾向にあります。

大病院前に目立つ門前薬局

大病院の前にいくと、病院の正面の道に軒を重ねるように門前薬局が複数並んでいたりします。
よくもこんなに並んでいても経営が成り立つものだと思うくらい門前薬局が並んでいますが、競合事業者が隣に立地していても事業が成り立つ基盤があるからこそ、門前薬局が大病院の前に複数並んでいたのです。
患者は、病院やクリニックで診察を終えると、医師から処方箋が発行されますが、原則、その処方箋をもってどの薬局にいってもOKなのですが、患者は薬を受け取る時点でどの薬局にいっても違いがないので、それならば病院やクリニックの目の前にある薬局で薬をもらっちゃったほうが便利ということで、薬の受け取りを面前薬局で済ませていました。
また面前薬局では、持ち込まれる処方箋のほとんどが近くにある医療機関のものなので、目の前の大病院が採用している医薬品を重点的にそろえておけば良いので効率的な経営ができるとともに、患者も薬の在庫切れなどがないことから、医療機関も患者もWIN-WINの関係だったのです。

風向きが変わった報酬改定

ところが、2016年度に厚生労働省は、診療報酬の改定で、門前薬局を狙い撃ちして報酬引き下げを行い、大型門前薬局が対象にされました。
特定の病院からの処方箋集中率処方箋受付回数が高い薬局に対して、低い調剤基本料が設定され、それに併せて複数店舗を持つ大規模チェーン薬局を対象とした低い調剤基本料が設定されました。
さらに2018年度の診療報酬改定で、その対象が小規模の門前薬局にまで拡大されたうえ、2020年度の改定では、地域の他の医療機関からの処方箋受付を進めていない薬局に対しても診療報酬引き下げの対象を拡大しました。

損益率低下の面前薬局

度重なる報酬改定で、厚生労働省の調査によると2016年には13%あった損益率が、2018年度改訂後には25%と大幅に低下してしまい、門前薬局が好立地に安住できた時代は終わりを告げました。
報酬で高く評価される患者への24時間体制の継続的な薬学的支援、在宅地域医療への貢献などの要件を達成する必要が出てきて、時間や場所に影響されないオンライン中心の調剤業務の道もできてきていています。