ロコモ・サルコペニア・フレイルと健康

ロコモ・サルコペニア・フレイルと健康

高齢化社会をむかえた日本、いつまでも健康で元気よくということで健康寿命ということが言われ出し、ロコモ・サルコペニア・フレイルとうった言葉が使われ出しています。その違いについてまとめました。

ロコモ・サルコペニア・フレイルとの関連

高齢化社会になり、介護などに関連して、ロコモ・サルコペニア・フレイルといった言葉をよく耳にするようになってきました。
似たような言葉なのですが、それぞれ違った意味合いをもっています。
しかし、これらは医学書などをみても載っていなかったり、小カラム的な扱いであったりします。

 

ロコモ・サルコペニア・フレイルの関連性については、はっきりと確定したものはありませんが、診断基準・判定基準、関連文献などをもとに、ロコモとサルコペニアとフレイルはそれぞれどんな位置づけにあり、どのような関連性があるのかについてまとめてみました。

 

ロコモ:ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome 運動器症候群)

ロコモは、ロコモティブシンドロームと言われ、日本語訳だと運動器症候群になります。
運動器の障害によって移動機能が低下した状態のことを指します。
ポイントは、移動機能について注目している点です。
移動機能が落ちることは、生活機能の低下にもつながります。

 

21世紀になってからできた新しい概念で、日本整形外科学会が2007年に提唱したものです。日本は高齢化が進み、平均寿命は男女とも80歳を超える時代となり、それゆえに運動器の障害によって移動機能が低下したロコモが介護面からも重要視されるようになってきました。
ちなみに、運動器とは、骨・関節、軟骨・背骨・椎間板・筋肉・神経などの総称で、これらが連携して機能することで体をスムーズに動かせるものです。

 

サルコペニア:(sarcopenia)

サルコペニアは、ギリシャ語で、筋肉を意味するサルコと、喪失を意味するペニアから、1989年に提唱された造語で、加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こることを言います。

 

20歳代と比較すると、70歳までに筋力は30~40%、骨格筋面積は25~30%減少すると言われています。
さらに、50歳以降になると、毎年1~2%程度筋肉量が減少すると言われています。

 

サルコペニアは、加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こることです。
ポイントは、筋力の低下について注目をしているという点です。
歩行速度や握力、筋肉量などから筋力量の減少を評価していきます。

 

ロコモ(ロコモティブシンドローム)

フレイルは、フレイルティのことで、日本語でいうと虚弱という意味になります。
厚生労働省研究班の報告書では、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」としています。

 

加齢に伴う種々の機能低下を基盤として、いろいろな健康障害に対する脆弱性が増加している状態を指します。筋力面・身体面だけでなく、精神面や社会面のことも考慮した判定になっています。
ポイントは、生活機能が障害され、心身虚弱状態ではあるが、介入や支援により戻るという点です。
つまり、フレイルに早く気づいて、正しい介入、つまり治療や予防をすることが大切なのです。
フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。
フレイルの状態になると、身体能力の低下が起こり、ストレスに弱い状態にもなっていて、死亡率の上昇にもつながります。