ロコモ・サルコペニア・フレイルのチェック・診断

ロコモ・サルコペニア・フレイルのチェック・診断

ロコモ・サルコペニア・フレイルのチェックや診断についてまとめました。特にサルコペニアに関しては簡易な診断法の案も出されています。

ロコチェックで確認! あなたのロコモ度はいくつ?

ロコモ運動能力の低下を評価するのですが、ロコチェックと呼ばれる7つの項目をチェックすることで、ロコモ度をチェックすることができます。

 

ロコモ(ロコモティブシンドローム)は、自らの運動器の機能低下に気づき、進行を予防するための運動習慣をできるだけ早い時期からスタートさせることが大切ですが、そのチェック方法として、ロコチェックという運動器の衰えを7つの項目でチェックできる『ロコチェック』というものが、日本整形外科学会公認 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトで公開されていますので、チェックしてみると良いでしょう。

 

日本整形外科学会公認 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

 

ロコチェック 7つの項目

  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまずいたりすべったりする
  3. 階段を上るのに手すりが必要である
  4. 家のやや重い仕事が困難である
  5. 2kg程度(1Lの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが困難である
  6. 15分ぐらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

 

ロコモ予防・疲れ回復には太ももの筋肉をストレッチ

サルコペニアの診断基準


サルコペニアは、世界的によく使われているWEGSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People)の定義によると、骨格筋量の低下を必須とし、それ以外に筋力の低下または身体能力の低下がある場合がサルコペニアということになっています。

 

サルコペニアの指標の一つとして、筋力の指標としての握力及び身体能力の指標としての歩行速度があります。

 

さらにもう一つの指標として、骨格筋量指数(SMI : Skeletal Muscle Mass Index)が、40歳までの若年者の平均値ー2SDをカットオフにしたりしています。

 

骨格筋量指数(SMI)= 骨格筋量(四肢の筋肉量を合計:ALM)÷ 身長(m)の二乗

 

骨格筋量(四肢の筋肉量を合計:ALM)の測定は、DXA(二重エネルギーX線吸収測定法)やBIA(生体インピーダンス解析法)などが用いられます。

 

BIA(生体インピーダンス解析法) :骨格筋量測定

BIA(生体インピーダンス解析法)は、身体に微弱な電流を流し、その際の電気抵抗地(電気の流れやすさ)を計測することで体組成を推定する測定法です。
脂肪はほとんど電気を流さないのに対し、筋肉などの電解質を多く含む組織は電気を流しやすいという特性を利用した測定法で、これにより筋肉量を推測することができます。

 

DXA(二重エネルギーX線吸収測定法) :骨格筋量測定

DXA(二重エネルギーX線吸収測定法)は、2つのエネルギーのX線を全身に照射させて、それぞれのX線の透過率の比を測定することで、脂肪・筋肉・骨といった体組成を計測する方法で、骨密度の測定などによく用いられる測定法です。

 

WEGSOP(世界的によく用いられている基準)におけるサルコペニア診断

サルコペニアは、歩行速度、握力を測定し、さらに筋肉量も調べることで、サルコペニアなのかそうでないのかを判断します。
まずは、世界的によく使われている判断基準はこのとおりです。

 

歩行速度及び握力が一定のレベルにいっていない場合は、筋肉量を測定し、筋肉量が少なければサルコペニアということになります。

 

AEGS(Asian Working Group for Sarcopenia : アジアの基準)におけるサルコペニア診断

欧米人とアジア人は体格もちがうので、アジア人向けのチャートは次のようになります。

 

基準となる数値などが若干違いますが、基本的には歩行速度及び握力が一定のレベルにいっていない場合は、筋肉量を測定し、筋肉量が少なければサルコペニアという点では同じです。

 

筋肉量を測定しない簡易法にこえるサルコペニア診断

筋肉量は図れないといった場合、歩行速度・握力・BMIなどによってサルコペニアかどうかを判定する簡易基準案というものもあります。
この方法だと、サルコペニアかどうかを手軽に調べることができます。

 

フレイルの判定

フレイルかどうかの判断は、いろいろな基準があり、これといった確立されたものがあるわけではありません。
しかし、ここにあげる5項目のうち、3項目以上あてはまる場合はフレイル、1項目から2項目該当する場合は、フレイルの前段階であるプレフレイルになります。

 

フレイルの評価基準の基本

フレイルの統一された評価基準はありません。基本的には

  1. 体重減少
  2. 主観的疲労感
  3. 日常生活活動量の減少
  4. 身体能力(歩行速度)の減弱
  5. 筋力(握力)の低下
  • 該当項目なし ⇒ 健常
  • 3項目以上該当する ⇒ フレイル
  • 1~2項目該当する ⇒ プレフレイル(フレイルの前段階)
  • 4番と5番どちらも該当する ⇒ サルコペニア

 

フレイルの評価基準の一例

評価基準 (よく用いられているFriedらのフレイルの評価基準)

  1. 体重減少 : 「6か月間で2~3kg以上の(意図しない)体重減少がありまたか?」に「はい」と回答した場合
  2. 主観的疲労感 : 「(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする」に「はい」と回答した場合
  3. 活動量 : 「軽い運動・体操(農作業も含む)を1週間に何日くらいしてますか?」及び「定期的な運動・スポーツ(農作業を含む)を1週間に何日くらいしてますか?」の2つ問いのいずれにも「運動・体操はしていない」と回答した場合
  4. 筋力(握力)の低下 : 利き手の測定で男性26kg未満、女性18kg未満の場合
  5. 身体能力(歩行速度)の減弱 : (測定区間の前後に1mの助走路を設け、測定区間定5mの時を計測する)1m/秒未満の場合

 

別の評価基準

  1. 体重減少 : 1年間で4.5kg以上減少
  2. 主観的疲労感 : ① 先月頃よりいつも以上に疲労感あり ② ここ 1 カ月酷くなった
  3. 活動量 : ADL(日常生活動作)の低下、生活活動量評価(レクリエーションなどの活動量を評価)
  4. 筋力(握力)の低下 : 握力の低下⇒ 男性 26 kg 未満 、女性 18 kg 未満
  5. 身体能力(歩行速度)の減弱 : 歩行速度の低下(移動能力の低下)⇒ 秒速0.8m以下

 

フレイルの簡単チェック法として、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢先生が監修された『フレイルチェック』があります。
詳細は、こちらを参考にしてください。

 

『フレイルチェック』 (PDFファイル)