
麻疹は、予防接種法という法律によると、勧奨接種として定期接種をすることが市町村に義務づけられています。
麻疹の予防接種は、MR(麻疹・風疹混合)ワクチンを打ちます。このワクチンは弱毒ワクチンになります。
できれば、2歳以下の罹患が約50%となっていることから、1歳になったらすぐ、1歳の誕生日に受けるようにすると良いでしょう。
地域で大流行している場合は、生後6ヵ月から任意接種ということで接種することができます。
第1期:1歳代で1回接種できます。地域で流行しているときは、自費で生後6か月からでも受けられますのでかかりつけ医に相談すると良いでしょう。
第2期:小学校入学の前年(幼稚園や保育園の年長クラス)1年間に1回接種します。
人間は、体内で1度作られた免疫機能が、再度抗原に接触することによって、さらに免疫機能が高まるブースター効果というものがあります。つまり追加免疫効果です。
子供のころに、インフルエンザワクチンやMRワクチンを2回接種するのは、この追加免疫を獲得するためです。
2000年代に日本で麻疹が流行しましたが、これは麻疹に罹患している人に接触する機会が失われ、このブースター効果が得られず追加免疫をもてなくなったからだと言われています。
麻疹(はしか)は大人でもかかるケースがあります。
麻疹の予防接種は、平成2年4月2日以降に生まれた人は定期接種として2回の麻疹含有ワクチンを受けることになっていますが、それ以前に生まれた人は、1回のワクチン接種のみの場合が多くなっています。その場合免疫が強化されていないため、大人でも麻疹にかかることもあります。
はしかはパラミクソウイルス科の麻疹ウイルスに感染することによって起こります。
麻疹ウイルスは、直径100~250nmのエンベロープを有する一本鎖RNAウイルスで、A~Hのcradeに分類されていて、ゲノタイプは22種類報告されています。
日本で主に流行している麻疹ウイルスは、D3タイプと D5タイプと言われています。
はじかの特徴としては、不顕性感染(感染しても症状が現れないケース)が極めて低く、感染すると95%以上は発症すると言われています。
麻疹(はしか)は感染力が強力と言われています。
一つは、不顕性感染(感染しても症状が現れないケース)が極めて低く、感染すると95%以上は発症すると言われることが感染力が強いと言われる所以です。
また、インフルエンザや風疹、マイコプラズマ肺炎などは、飛沫感染により感染していきます。
これは、ウイルスを含む飛沫を吸い込むことにより感染するので、1m以内の人が飛沫を吸い込むことで感染していきます。
ところが麻疹(はしか)は、もちろん飛沫感染もしますが、粒子が5μm以下と小さいため、空気感染もします。空気感染は、空気中を漂っている微細な粒子により感染していきます。したがって、数十m離れていても感染してしまうのです。これが、麻疹(はしか)が感染力が強いと言われる理由です。
空気感染するものとしては、麻疹の他には、結核や水痘などがあります。
国立感染症研究所によると、今年報告された患者のほぼ半数は、ワクチンの接種歴がない人でした。
特に注意が必要なのは、定期接種を受け終わっていない感染リスクが高い小学校入学前の乳幼児なので、定期接種は必ず受けることが大切です。
また、妊婦が感染すると、流産や早産のおそれがあるので、特に妊娠を希望する女性は、免疫が十分あるかなどを医療機関と相談したうえで、必要な場合には、接種を受けることが重要です。
すでに妊娠中の女性は、ワクチンを打つことができないため、患者が発生した地域を訪れるのは避けたほうがよく、身近に発熱や発疹の症状がある人がいる場合は近寄らないようにします。