ロコモ・サルコペニア・フレイルは、どう違うのか

ロコモ・サルコペニア・フレイルは、どう違うのか

高齢化社会の中、ロコモ・サルコペニア・フレイルとうった言葉が使われ出しています。プレフレイル、ダイナペニアといった言葉も含め、それぞれの違いについてまとめました。

ロコモ・サルコペニア・フレイルの関連性と違い

まずはロコモ・サルコペニア・フレイルの関連性と違いについて、全体像や流れを把握できるよう、動画を作成しました。

ロコモ・サルコペニア・フレイルの意義・ポイントとダイナペニア

ロコモ移動機能が低下した状態ですが、そうなってしまう理由には、加齢が大きな原因としてあげられますが、その他に脊椎管狭窄症(せきついかんきょうさくしょう)や変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といった運動器疾患も原因となります。
もちろん、筋力が衰えるサルコペニアも、移動機能が低下するロコモティブシンドロームにつながっていきます。

 

一方、フレイルは、筋力的なもの・身体的なもの意外にも、精神面・社会面も判定要素に入れられるので、筋力が弱まるサルコペニアは、フレイルの中の筋力的な部分の要素と言えます。

 

サルコペニアは、筋力が衰えるもので、ロコモ度を上げる原因になりますし、ロコモで体をあまり動かさなくなることにより、サルコペニアが進んでいくというスパイラルも考えられます。

 

サルコペニアは、身体面・精神面・社会面などいろいろな角度で、加齢に伴う種々の機能低下を評価するフレイルの中、筋力の減少に関連した部分として、フレイルの判断をするときの一つの大きな要素になっています。

 

サルコペニアは、筋力低下、歩行スピードの低下を評価し、これに筋肉量を加味してサルコペニアかどうかが判断されます。
最近では、筋肉量自体と身体機能や筋力との関連性が少ないとしたり、関連性はないとする報告もでてきていて、サルコペニアの判定で、筋肉量の減少を考慮せず、筋力低下と歩行スピードから判断する場合は、ダイナペニアと呼んだりすることがあります。

 

ロコモとサルコペニアとフレイルの現状とポイント

簡単にロコモとサルコペニアとフレイルの現状を整理してみます。

 

ロコモ

ロコモは予備軍と呼ばれるものまで含めると、全国に4700万人いるとされています。目的はロコモ度をチェックして、将来、移動できないことにより寝たきりになったり介護を必要とする状態になる前に、予防・対策を打っていこうというものです。

 

移動に関する項目をチェックして、将来、要介護になったり寝たきりになったりする前に、予防し対策をとるためのもので、片足立ちで靴下がはけないとか、階段をのぼるのに手すりが必要といった項目が該当するかをチェックし、運動機能を確認します。

 

フレイル

フレイルは、少なくとも国内に250万人いるとされていて、身体面のみならず、精神面、社会面なども考慮し、早めにこうした人たちに介入・支援を行いサポートしていこうとする目的のものです。

 

フレイルは、チェック項目を確認することで、筋力だけでなく、体重や生活活動量、疲労度などを包括的にチェックして、介入や支援によって生活機能を維持していくためにチェックされるものです。

 

サルコペニア

サルコペニアは全国で約270万人と言われ、握力や歩行速度の衰えに早めに気づき、治療や予防を行っていくことを目的としたもので、治療法としては、大きく2つあげると運動療法と栄養療法があります。

 

筋力をそのまま臨床的に、歩行速度であったり握力であったり、筋肉量であったりと数値で割り出します。筋力の衰えがある場合は、運動療法や栄養療法で対策をとっていきます。

 


ロコモを中心とした全体の流れの中でのサルコペニア・フレイル

 

ロコモティブシンドロームの原因は、主に加齢による運動器機能の低下と運動器疾患があります。

 

加齢による運動機能の低下としては、体幹や四肢の筋力低下により立ち上がったり歩いたりする動作やバランス感覚が弱ったり、俊敏性や動作を起こすまでの反応時間の遅延などがみられます。
また全身耐久性の低下や体力低下、筋委縮などによる関節の可動域の低下などがみられます。

 

運動器疾患としては、骨粗鬆症、変形性膝関節症、背柱管狭窄症、変形性脊髄症、関節リウマチなどの他、骨折や体幹・四肢の麻痺、肩こり・腰痛などがあり、関節や筋肉の痛みや深部感覚の低下などがみられます。

 

そうなると、移動が困難になり、トイレや入浴、洗面や更衣といった日常生活にいおいて介助が必要になり、要支援・要介護となってしまいます。
さらに容易に転倒しやすくなるため、ケガや骨折をしやすくなり、外出するのも億劫になり家に閉じこもりがちになることで、なかなか動かなくなり、運動もしなくなることで、ますます筋力が低下し、バランス能力なども低下してしまいます。
そして筋力低下が進み、運動機会が減ってしまうという悪循環、いわゆるロコモスパイラルになってしまいます。
そして、移動能力がされに低下したり、筋力以外の要素も低下し、フレイルになったりすることで、要介護状態や寝たきりになってしまいます。

 

ディスクワークや車社会の現代、若いころから運動をする習慣がない人は、自分で思っている以上に足腰が衰えていたりして、こうした人はロコモディブシンドロームの予備軍になっている可能性もあるので、注意が必要です。

ロコモと介護

要支援・要介護ではなく、自立して生活できる期間を「健康寿命」と言ったりしますが、日本人は平均寿命に比べて健康寿命が約10年も短いと言われています。
言い方を変えれば、日本人は10年間は何らかの支援や介護が必要な状態になるということになります。

 

厚生労働省の2013年国民生活基礎調査によると、要支援・要介護となった原因のうち、ロコモがらみが22.7%という数値がでています。
これを要支援にしぼってみると、要支援1では34.8%、要支援2では35.8%となっていて、要支援となっている原因の約半分がロコモがらみ、つまり骨折・転倒や関節疾患が原因となっているという結果がでています。

 

参考 : 健康長寿ネット(ロコモティブシンドローム)

 

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