サルコペニア・ロコモ・フレイルの予防体操とNCGG-HEPOP

サルコペニア・ロコモ・フレイルの予防体操とNCGG-HEPOP

サルコペニア・ロコモ・フレイルの違いを車に喩えるとともに、お奨めの予防体操をまとめています。またNCGG-HEPOPのフローチャート・パックについても解説しています。

車に喩えると分かりやすい!サルコペニア・ロコモ・フレイル

人生100年時代、いつまでも自分らしく動ける体を維持するために、今知っておくべき3つのキーワード「サルコペニア」・「ロコモ」・「フレイル」の違いは、車に喩えるとわかりやすくなります。

項目 視点 定義 主な対象層 原因
サルコペニア 筋肉そのもの 筋減少症(疾患) 75歳以上、若年層(ダイエット等) 加齢、疾患、栄養不足
ロコモ 動作(立つ・歩く) 運動器症候群 40代以上の約4割(予備軍含む) 運動器の疾患・機能不全
フレイル 生活全般の脆弱性 虚弱 65歳以上の約10% 身体、精神、社会的な複合要因

専門用語だと難しく感じますが、自分の体を「車」に例えるとイメージが湧きやすくなります。


サルコペニア(パーツの劣化)
エンジンの馬力が落ち、パーツそのものが摩耗している状態です。
エンジンオイルを交換したり、パーツを補強(栄養・筋トレ)したりして、パワーを取り戻す必要があります。


ロコモ(走行機能の低下)
足回りやブレーキ系統に制限がかかり、スピードが出ない、坂道が登れない状態です。
タイヤ交換やサスペンションの修理(運動器のケア)を行い、スムーズな走行を目指します。


フレイル(車両全体の老朽化)
車全体が古くなり、あちこち故障しやすくなっている状態です。
車検や法定点検のような、全体的なコンディションの維持・底上げ(運動・栄養・社会参加)が欠かせません。

今日から始める!効果的な3つのトレーニング

厚生労働省や専門学会も推奨する、器具いらずの標準的なメニューです。週に2〜3回を目安に、自分のペースで挑戦してみましょう。


膝伸ばし運動(大腿四頭筋の強化)

膝の安定に不可欠な太ももの前側の筋肉を鍛えます。
①イスに浅く腰かけ、縁を両手でしっかり握ります。
②片方の足首を直角に曲げたまま、膝をまっすぐ伸ばします。
③かかとを床から10cmほど上げ、5〜10秒間キープ。これを左右行います。


フロントランジ(下半身全体の強化)

実生活に近い動作で、バランス能力も同時に高めます。
①腰に両手を当て、背筋を伸ばして立ちます。
②片方の脚をゆっくり大きく前に踏み出します。
③太ももが水平になるくらいまで腰を落とし、元の位置に戻ります。
Point: バランスを崩さないよう注意。歩幅を広げると負荷が高まります。


ヒップリフト(お尻・大臀筋の強化)

立ち上がりや歩行の推進力を生むお尻の筋肉を、寝たまま安全に鍛えます。
①仰向けに寝て、両膝を立てます。
②お尻をゆっくり持ち上げ、数秒キープしてからゆっくり下ろします。
③これを20〜30回繰り返します。


まとめ動画


<参考>
日本老年医学会:サルコペニアの人を対象にした運動プログラム
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/mhlw_research_01.pdf


国立長寿医療研究センターが開発したNCGG-HEPOP(エヌシージージー・ヘポップ)
https://www.ncgg.go.jp/hospital/guide/hepop/documents/data_2020_simple2.pdf

「NCGG-HEPOP」で始める科学的なフレイル対策

NCGG-HEPOP(エヌシージージー・ヘポップ)は、もともと外出自粛などで活動量が低下しがちな高齢者の「生活不活発」を防ぐために、専門家チームによって考案されました。
最大の特徴は、単なる運動紹介ではなく、「アセスメント(評価)→プログラム選択→実施」という科学的なステップを踏んでいます。
自分に足りない機能は何かを把握し、効率的に改善することを目指した内容になっています。


NCGG-HEPOPでは、以下の質問に答えることにより、複雑な医学的診断を待たずとも、自分に今最も必要な「運動・活動パック」がどれであるかが自動的に導きだせる仕組みになっています。

質問事項
歩行速度: 「以前に比べて歩く速度が遅くなってきたか?」
体重減少: 「6ヶ月間で2~3kg以上の意図しない体重減少があるか?」
認知機能: 「最近、もの忘れが気になるか?」
痛みや転倒リスク: 「膝や腰に痛みはあるか?」「この1年で転んだことがあるか?」

個別の課題にアプローチするNCGG-HEPOPの「6つの適正パック」

① バランス向上パック(転倒予防)
転んだ経験がある方や、歩行時にふらつきを感じる方向け。体幹や足首の安定性を高め、重心移動をスムーズにするメニューが中心です。
② 体力向上パック(筋力・持久力)
転倒の不安はないものの、階段の上り下りがきつい、疲れやすいと感じる方向け。スクワットやフロントランジなど、大きな筋肉を鍛えるレジスタンス運動が含まれます。
③ 摂食嚥下(せっしょくえんげ)改善パック
「食事中にむせることが増えた」「固いものが食べにくい」という、いわゆる「オーラルフレイル」に対応します。お口の体操や飲み込みの筋肉を鍛えるトレーニングです。
④ 栄養改善パック
単なる運動不足ではなく、食欲低下や低栄養がフレイルの原因となっている方向け。バランスの良い献立の立て方や、筋肉の元となるタンパク質の摂り方などを学びます。
⑤ 不活発予防パック(基本コース)
現在は元気で目立った症状はないものの、将来の衰えを予防したい方向け。全身を動かすストレッチや、日々の活動量を維持するためのガイドです。
⑥ コグニパック(認知機能維持)
認知機能の低下を防ぐため、国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ」を取り入れています。「計算しながら足踏みする」など、頭と体を同時に使うデュアルタスク(二重課題)トレーニングが特徴です。


各パックには、イラスト付きで分かりやすい運動メニューが10〜15個程度含まれていて、週に2〜3回、1回20〜30分程度から始めることが推奨されています。
特別な器具は必要なく、椅子やペットボトルなど家にあるもので代用できるため、今日からでも開始できるのが魅力となっています。


<参考>
国立長寿医療研究センターが開発したNCGG-HEPOP(エヌシージージー・ヘポップ)
https://www.ncgg.go.jp/hospital/guide/hepop/documents/data_2020_simple2.pdf