甘いものがやめられない原因と腸内細菌と対策

甘いものがやめられない 原因と腸内細菌と対策

甘いものが好きという人も多いと思いますが、ついつい甘いものは別腹といわんばかりに、食べすぎてしまったりします。

どうして私たちは、甘いものが好きで、ついつい食べすぎてしまうのでしょうか。その原因の一つとその対策についてみていきたいと思います。

糖を渇望してしまう理由とは

美味しいものは、糖と脂肪でできているといったキャッチコピーのテレビCMもありましたが、確かにそのとおりで、そのためついつい甘いものを食べすぎてしまったりします。

 

ところが砂糖の取りすぎは、糖尿病のリスクだけでなく、心臓病や肥満といった生活習慣病の原因にもつながってしまいます。

 

それでは、なぜ甘いものをついつい食べすぎてしまうのかというと、その原因の一つは、甘いものへの誘惑です。

 

砂糖を摂取すると、血糖値が上昇し、脳の報酬系が活性化され、脳内では報酬系ホルモンとも快楽ホルモンとも言われるドーパミンや、脳内麻薬と言われるエンドルフィンが放出され、快感や満足感を感じます。

 

ドーパミンやエンドルフィンは、快楽や報酬に関連する神経伝達物質であり、糖の摂取によって得られる快感を脳が記憶し、再び糖を求める欲求が生じます。
つまり、砂糖の摂取が続くと、脳はこの刺激に慣れてしまい、より多くの砂糖を求めるようになってしまいます。

 

従って、砂糖を頻繁に過剰に摂取していると、脳は糖による快感を覚え、その習慣化が進むと、糖を摂取しないとドーパミンが十分に放出されず、不快感やイライラ感を感じるようになってしまいます。

 

甘いものが大好きで、やめられないというのは、こうした脳の報酬系の働きが大きく影響していて、そして腸内細菌のバランスも、この誘惑に深く関与していると言われています。

 

また、報酬系の他にも、視床下部の摂食中枢満腹中枢にも働きかけ、影響をすると言われていて、これには腸内細菌のバランスも大きく関わっていると言われています。

 

糖を渇望してしまう理由とは


糖の渇望に影響を与える腸内細菌として研究が進められてきたのが、Bacteroides vulgatusという腸内に優先的に常在する嫌気性グラム陰性桿菌になります。

 

このBacteroides vulgatusは、善玉菌とする資料と日和見菌とする資料があります。

 

これは、通常は食物繊維を分解し、酢酸やプロピオン酸、酪酸といった短鎖脂肪酸の生成に関与していて、腸のバリア機能を強化し炎症を抑えることに寄与することで腸の健康を維持する上で重要な役割を果たしてくれますが、腸内で異常に増加したりすると、炎症性腸疾患を引き起こし、日和見感染を起こすこともあることから、善玉菌としての働きをもった日和見菌という考え方もあります。

 

Bacteroides vulgatusは、高脂肪食による肥満を軽減する可能性があるという研究結果も発表されていて、これはBacteroides vulgatusが腸内細菌のバランスを調整して、脂質代謝の改善に寄与することから、脂質の蓄積が抑えらるのではと考えられています。

 

さらに最近の研究では、このBacteroides vulgatusが、食欲の調整、特に糖の好みや糖の摂取行動に大きな影響を与えているということがわかってきています。

 

Bacteroides vulgatus と 糖の渇望

Bacteroides vulgatusは、酢酸やプロピオン酸といった短鎖脂肪酸を生成する腸内細菌で、これらの酢酸やプロピオン酸は、小腸・十二指腸に存在するI細胞からコレシストキニン(CCK)というペプチドホルモンが分泌されるのを促進します。

 

コレシストキニン(CCK)は、神経伝達物質として機能して、直接的に視床下部腹内側核 (VMH) にある満腹中枢を刺激することにより、満腹感を感じさせ、食欲を抑制します。

 

さらに生成された短鎖脂肪酸の酢酸やプロピオン酸は、小腸の腸管内分泌細胞であるL細胞に作用し、短鎖脂肪酸に対する感受性を持ったGタンパク質共役受容体であるGPR43(フリー脂肪酸受容体2)といった受容体に影響を与え、細胞内シグナル伝達が活性化し、食欲調節に寄与するホルモンのGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の分泌が促進されます。

 

またBacteroides vulgatusは、酢酸やプロピオン酸といった短鎖脂肪酸に加えて、エネルギー代謝や脂質の代謝に関わる水溶性ビタミンとしても知られているパントテン酸も生成しますが、このパントテン酸も、小腸の腸管内分泌細胞であるL細胞から分泌される食欲調節に寄与するホルモンのGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の分泌を促進することがわかっています。

 

このように、パントテン酸により分泌されたGLP-1は、膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進させて血糖を下げるとともに、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌も抑制することで食欲を抑える効果がありますが、さらに肝臓で作られるホルモンであるFGF21の放出を刺激するため、糖の好みが抑制され、過剰な糖の摂取を抑制します。

 

GLP-1の働きで刺激され放出されたホルモンよう物質のFGF-21、繊維が細胞増殖因子21は、脂肪細胞による糖の取り込みを促進して、インスリンに依存することなく血糖値を下げることが期待され、これによりインスリン抵抗性のある肥満の人でも食欲が抑えられ、肥満や糖尿病などの代謝異常の改善に寄与することが期待されます。

 

さらに分泌されたインスリンにより、脂肪細胞からの「食欲抑制ホルモン」や「抗肥満ホルモン」などとも呼ばれるレプチンの分泌が促されます。
分泌されたレプチンは、視床下部に働き、視床下部の弓状核にある摂食を抑制するBOMC(プロオピオメラノコルチン)ニューロン、腹内側核にありインスリンの作用を高め、骨格筋での糖の利用を促進して食欲を抑える働きがあるSF1ニューロンに作用して、食欲を抑制します。
一方、酢酸やプロピオン酸といった短鎖脂肪酸は、短鎖脂肪酸に対する感受性を持ったGタンパク質共役受容体であるGPR43(フリー脂肪酸受容体2)に作用し、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の分泌を促進するだけでなく、同じL細胞のGタンパク質共役受容体であり長鎖脂肪酸に対する感受性が強いFFAR4(フリー脂肪酸受容体4)とも反応して、PPY(ペプチドYY)というペプチドホルモンの放出を促します。

 

放出されたPPYは、視床下部にあるY2受容体と結合することにより、Y2受容体を活性化させ、視床下部の弓状核にあるAgrp(アグーチ関連ペプチド)およびNpy(神経ペプチドY)ニューロンの活動が抑制されることにより、食欲が抑制されます。

 

 

糖の渇望に対する対策

習慣的に高糖質を摂取している人々は、グルコース摂取後のGLP-1の上昇が少ないことが知られていますが、腸内細菌によりGLP-1の分泌が促され、いろいろな食欲抑制機構が働くことから、インスリン抵抗性のある肥満の人でも、腸内細菌の働きは有用であると考えられます。

 

甘いものの欲求は、食後に甘いものを過剰に摂取する習慣を断つため、夕食後に「脳を再プログラムする」ための健康的な代替習慣を見つけると良いとされています。

 

なぜなら、楽しい習慣を取り除くと、脳がその習慣を忘れてしまい、欲求がより強くなり、止めるのが難しくなる可能性があるからで、そのため代替のご褒美をもうけるのです。

 

つまりデザートの代わりに、別のアクティビティやご褒美を自分に与えるようにします。
これには、

 

電話で友達と話す
お気に入りのショーを楽しむ
リラックスできるお風呂に入る

といった方法があります。

 

まだ何か食べたいというのであれば、デザートの代わりとして果物がオススメで、これらは自然食品であり、砂糖の急増を和らげる繊維も豊富な天然の砂糖源だからです。

 

またはナッツなどもオススメで、人工的なものを含まない高品質のスイーツは、満足感を与えてくれます。

 

また、腸内細菌は、糖の渇望に関連して大きな役割を果たしていることから、規則正しいバランスのとれた食生活で、腸内環境を整えることも大切です。