AIの時代だからこそ求められる論理的思考 | 賢脳トピックス

AIの時代だからこそ求められる論理的思考 | 賢脳トピックス

最近はAIの発達が目覚ましく、生成AIを使うと、無料か少額の料金でド素人が本物の区別つかないような動画をものの数分で作成できてしまったりします。
AIにまかせておけば何でも答えを出してくれるし、もう論理的なことですらみんなAIがやってくれると思いがちですが、そんな時代だからこそ、論理的思考が重要になってくるのです。

論理的思考を必要とする問題は、GoogleやApple、Microsoftなどの世界的企業の採用試験などでも用いられたりしています。


AIに考えてもらえばいいやはダメ

世界で一番有名な経営学者とも言われるピーター・ドラッカーは、『コンセプチュアル・スキル』は、働くすべての人に必要だ。」としています。


『コンセプチュアル・スキル』「概念化能力」とも呼ばれ、物事の本質を見抜いて、複雑な情報や知識を抽象化・概念化して体系的に理解する能力になります。


わかりやすく言うと、多くの情報の中から本質的な要素を抽出し、問題の核心を捉えたり、バラバラに見える事象を共通点や関連性で結びつけて全体像や原理として理解したり、未来予測や戦略的思考で数年後のニーズや社会の変化を予測したり、複雑な問題の根本原因を特定し、本質的な解決策や新しいアイデアを生み出したりする能力が『コンセプチュアル・スキル』です。


この中には、『論理的思考』俯瞰力なども含まれてきます。


一方、今や誰もがAIを使う時代になってきて、「AIに考えてもらえばいいんだから、人間の思考力も不要になるよな」なんていう人もいたりします。
しかし、それは逆で、AIを上手く使いこなすには論理的な思考が大切になってくるのです。


AIは能力が高い新入社員みたいなものです。
記憶力は抜群、計算能力はピカイチ、資料をまとめる能力にも優れています。
そしてAIはプロンプト(命令文)で動くのですが、AIは能力が高いとしっても新入社員で、自分の役割をきちんと指示してあげないと、うまう働いてくれません。
そして、正しく望むような解答をもらうためには、賢く考え、きちんとしたプロンプトを打ち込む必要があるのです。


俯瞰思考とは

論理的思考の中に『俯瞰思考』というものがあります。
『俯瞰思考』は、現状の視野や細部にとらわれることなく、視点を鳥の視点に高めても物事をとらえていく力になります。
全体像はどうなっているのか、幅広い視野で状況を眺めていくことで、見えていなかった情報や可能性に気づき、新たな発想や解決策を見出していきます。


俯瞰思考がどうして大切なのかというと、仕事面でも人間関係面でもいろいろと応用できるからです。
仕事のプロジェクトにおいて、個々の担当者は、それぞれ自分の作業に集中します。
しかし、プロジェクト全体のスケジュールと各タスクの進捗を一覧で確認し、「このタスクが遅れると全体に影響が出るな」「ここの連携がうまくいっていない」と、全体の中での位置づけや流れ、潜在的な問題を把握できていないと、プロジェクトはうまくいきません。


人間関係においても、俯瞰思考ができれば客観的にものごとをとらえることができるようになり、「相手が悪い!」と感情的になるのではなく、 「相手は今どんな気持ちだろう?」「自分はなぜこんなに反応しているのか?」と、第三者の視点や時間軸をずらして客観的に状況を捉えることで冷静になれます。


AIの時代だからこそ俯瞰思考が重要

『俯瞰思考』は、平たくいえば鳥の目の視点、難しく言うとメタ認知的な視点ということになります。
AIが驚異的なスピードで発達し、簡単に「正解」や「最適解」を導き出せるようになった昨今、人間にはAIにはない視点・思考が求められるようになってきています。
そして、AIの時代、俯瞰思考が大切だと言われる理由の一つに、AIにはない「問いを立てる力」と「文脈を読み解く力」が必要不可欠になってきます。


AIは、過去の膨大なデータを学習して、特定の目的に対する「手段(How)」や「効率的な手順」を提示するのは得意です。
しかし、AIは与えられた枠組みの中で最適化することは得意ですが、「そもそもなぜこれをやるのか?:Why?」という根源的な目的を自ら生み出すことはできません。
AIが発展してきているとはいえ、情報が溢れかえる時代、俯瞰思考により、「今、AIに解かせている問題は、本当に解く価値があるのか?」と一段高い視点から問い直し、何に向かうべき方向を決める「羅針盤」としての視点が必要になってきます。


AIは、文章作成、画像生成、データ分析などといった特定のタスクを命令すれば、人間を凌駕しますが、それらをバラバラに実行するだけではあまり価値がありません。
「技術」「経済」「倫理」「感情」といった、AIが個別に処理している要素を、一つのストーリーや事業として統合(オーケストレーション)できるのは、俯瞰して全体を眺められる人間だけなのです。
また、何かを優先すれば、何かが犠牲になる。こうした複雑な利害関係や倫理的判断は、単なる計算ではなく、広い視野に基づいた「意志」が求められます。


AIの弱点として、学習データの偏りを反映し、時に「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」をついたり、偏った価値観を強化したりしてしまいます。
俯瞰思考ができる人であれば、AIの回答を鵜呑みにせず、「この回答にはどんな偏りがあるか?」「別の視点からはどう見えるか?」と客観的に観察しチェックすることができます。


AIの時代は、AIと人間の役割分担が重要になってきて、いかにAIを「優秀な道具」として使いこなせるかが能力になってきます。
そのためには、「どれだけ高い位置から盤面を見ているか」という鳥の目の視点も重要になってきます。