科学が証明した「スマホと寿命」の相関。あなたのテロメアは大丈夫? | 健康トピックス

科学が証明した「スマホと寿命」の相関。あなたのテロメアは大丈夫? | 健康トピックス

毎日手放せないスマホが、実はあなたの寿命を縮めているかもしれません。
最新科学が明らかにした、老化の指標「テロメア」とスマホ利用の意外な相関関係とは?

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つい夜更かししてスマホを眺めてしまう

――そんな何気ない習慣が、実はあなたの「寿命のロウソク」を早く燃やしているとしたらどうでしょうか?


スマホが放つブルーライトやSNSによる精神的ストレスが、いかにして細胞レベルで寿命に干渉しているのか、そして今日から実践できる「老けないスマホ習慣」を考えていきましょう。


過度なスマホ利用が、寿命のロウソクの燃えるスピードをあげているかも

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最近寝ても疲れが取れない
最近、記憶力や集中力が落ちた

と感じていませんか?


それはもしかしたら単なる疲れではなく、過度なスマホ利用により、あなたの体の中で慢性的な微細炎症が起きていて、寿命のロウソクによく喩えられるテロメアが短くなっているサインかもしれません。
少しオーバーではと感じたかたもいらっしゃるかもしれませんが、近年の研究で、過度なスマホなどのデバイス利用と細胞の老化を示す「テロメア」との間に、無視できない相関があることが分かってきたのです。
そこでスマホがどうやって細胞を老化させるのか、そのメカニズムと対策を解説していきます。


寿命のロウソクに喩えられるテロメアって何?

私たちの寿命を決めているとされる「テロメア」は、よく「寿命のロウソク」に例えられます。


私たちが生まれたばかりの時は、ロウソク(テロメア)は長く、芯もしっかりしています。
しかし、私たちが生きる日々の中で、細胞分裂という「燃焼」を繰り返すたびに、ロウソクは少しずつ短くなっていきます。
そしてロウソクが燃え尽き、短くなりすぎて火が灯せなくなった時、細胞は活動を停止し、これが「老化」であり、寿命が尽きる瞬間というわけです。


わかりやすく情緒的な説明をしましたが、科学的に説明すると、テロメア(Telomere)は、真核生物の染色体の末端部に存在する特定の塩基配列とタンパク質の複合体になります。


ヒトの細胞核内には染色体があり、二重らせん状のDNAで構成されています。
この二重らせん状のDNAの「端」にあたるのがテロメアになります。
ヒトの場合は、テロメア「TTAGGG」(チミン・チミン・アデニン・グアニン・グアニン・グアニン)という特定の6塩基の繰り返し配列で構成されています。
細胞分裂をして、DNAが複製されるたびに、DNA鎖の両端にあるテロメアがなくなり、少しずつ短くなっていくことから、テロメアを『寿命の回数券』に喩える人もいます。


過度なスマホ依存が寿命のロウソクを縮める

過度なスマホ依存は、なぜ寿命のロウソクを縮めることにつながるのでしょうか?
過度なスマホ依存により、長時間のスマホ首、運動不足、脳疲労、電磁波、睡眠不足、ブルーライト、心理的ストレスなど私達の体にはいろいろと負荷がかかってしまいます。
なぜこれらが、寿命のロウソクと言われる『テロメア』を短くしてしまうのか、一つ一つ解説していきます。


長時間のスマホ首・運動不足

スマホを長時間使用していると、不自然な姿勢からスマホ首になったり、運動不足になってしまいます。
そうすると、筋肉が緊張し、硬くなり、血流が悪くなることにより、酸素が欠乏状態になり、細胞がダメージを受けてしまいます。
すると、そのダメージを回復しようと炎症性のサイトカインが放出され、それが『インフラメイジング』と言われる慢性微細炎症を引き起こします。
この慢性微細炎症状態が長く続くと、細胞を修復しようと指令が出され、過度な細胞分裂が起こり、テロメアを早く消費してしまうことにつながります。


<根拠論文>
The association between inflammatory markers and general psychological distress symptoms
Scientific Reports (2023)


Associations of Accelerometer-Measured Sedentary Time and Physical Activity With Leukocyte Telomere Length in Older Women.
Am J Epidemiol. 2017 Feb 1;185(3):172-184.


脳疲労(脳の過緊張)

スマホを長時間使用していると、絶え間ない情報の入力をしていることになり、脳の過緊張が起こって、脳疲労になっている状態になります。
脳がフル稼働しているので、そのエネルギーを確保しようと脳のミトコンドリアに過剰な負担がかかり、酸化ストレスとなり、そこで活性酸素が大量に発生してしまいます。
この大量に発生してしまう活性酸素は、寿命のロウソクとも回数券とも言われる『テロメア』を構成する塩基配列を切断してしまうので、テロメアを早く消費してしまうことにつながってしまいます。


<根拠論文>
Oxidative stress and neurodegeneration: where are we now?
J Neurochem. 2006 Jun;97(6):1634-58. doi: 10.1111/j.1471-4159.2006.03907.x.


電磁波

スマホから発せられている電磁波も悪影響を及ぼします。
スマホを長時間使用することにより、低周波電磁波により、細胞膜にあるVGCC(電位依存性カルシウムチャンネル)が異常に活性化してしまいます。
するとこのカルシウムチャンネルが開きっぱなしの状態になってしまうので、細胞内にカルシウムイオンが過剰に流入してきてしまいます。
これによりミトコンドリアが刺激を受けて、活性酸素が大量に発生し、酸化ストレス状態となり、寿命のろうそくと言われる『テロメア』を早く消費することにつながっていきます。


<根拠論文>
Electromagnetic fields act via activation of voltage-gated calcium channels to produce beneficial or adverse effects.
J Cell Mol Med. 2013 Jun 26;17(8):958–965. doi: 10.1111/jcmm.12088


Oxidative mechanisms of biological activity of low-intensity radiofrequency radiation.
Electromagn Biol Med. 2016;35(2):186-202. doi: 10.3109/15368378.2015.1043557. Epub 2015 Jul 7.


睡眠不足

夜、スマホをみて夜更かしをしていると、どうしても睡眠時間を削って睡眠不足につながってしまいます。
睡眠不足をすると、代謝が低下してきて、内臓脂肪がたまりやすくなります。
内臓脂肪を溜めやすくなると、脂肪細胞が肥大化してきて、TNFαなどの悪玉のアディポサイトカインと言われる炎症を引き起こす物質を放出するようになり、この状態が続くと、インフラメイジング(慢性微細炎症)の状態になり、細胞を修復しようと指令が出され、過度な細胞分裂が起こり、テロメアを早く消費してしまうことにつながります。


睡眠不足により、インスリンの働きをサポートする『アディポネクチン』などの善玉のアディポサイトカインの分泌が抑えられ、インスリンの抵抗性を高めてしまうTNFαなどの悪玉のアディポサイトカインの分泌が促進されるので、全体的にインスリン機能の低下が起こるため、食後の血糖値が下がりにくくなります。
すると、糖化生成物(AGEs)が蓄積しやすくなり、これが、慢性微細炎症を引き起こし、炎症性サイトカインが放出されるとともに、活性酸素が発生し酸化ストレスが起こり、テロメアの短縮につながっていってしまいます。


ブルーライト

スマホから出ているブルーライトも悪影響を及ぼします。
夜寝る前にスマホを見ると、脳が刺激されて睡眠不足になるとともに、ブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌も抑制してしまいます。
その結果、睡眠の質がさがり、深い眠りとされているノンレム睡眠が減少し、細胞修復の働きをもつ成長ホルモンが十分に分泌されなくなってしまいます。
すると、修復が不十分のまま細胞分裂が繰り返され、それによりDNAのコピーミスが蓄積し、テロメアの保護機能が失われて短くなってしまうのです。


<根拠論文>
Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness.
Proc Natl Acad Sci U S A . 2015 Jan 27;112(4):1232-7.


過剰スマホの心理的ストレス

スマホの過剰使用により、人は知らず知らずのうちに心理的ストレスも受けています。
四六時中スマホを使う理由はさまざまですが、SNS承認欲求、やFOMO(フォーモ:Fear of Missing out)仕事の通知などにより心理的ストレスを感じてしまうのです。

FOMOとは、SNSの普及で、友達が旅行、パーティー、美味しそうな食事を楽しんでいる写真を見ると、「自分だけ取り残されている」という焦りを感じやすくなるもので、他者との比較から生じる劣等感、つながりから外れてしまう孤独感といった「取り残されることへの恐れ」、また常に情報収集を得ていないと不安になる「見逃すことの恐怖」などを言います。

こうした心理的ストレスにより、副腎からストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、それがテロメアを修復する酵素であるテロメアーゼの活性を著しく低下させてしまいます。
一方で、コルチゾールがエネルギー供給のために代謝を加速させ、ミトコンドリアを活性化し、活性酸素の大量発生、酸化ストレス、慢性微細炎症につながることで、テロメアの短縮を促進してしまいます。


<根拠論文>
Urban Nature Experiences Reduce Cortisol in the Context of a Personalized Dose-Response Study
Frontiers in Psychology 2019年, Volume 10, Article 722


Accelerated telomere shortening in response to life stress.
Proc Natl Acad Sci U S A . 2004 Dec 7;101(49):17312-5. doi: 10.1073/pnas.0407162101. Epub 2004 Dec 1.


スマホの過度な使用でテロメアはどうやって短くなっていくのか


スマホの過度な使用で『テロメア』が短くなっていく原因やメカニズムはいろいろあります。
メカニズムでいうと、『慢性微細炎症(インフラメイジング)』が発生し、それを修復するために過度な細胞分裂が起こるメカニズム、『活性酸素(ROS)』が大量に発生して酸化ストレスを引き起こし、テロメアの部分の塩基配列が切れてしまうメカニズム、ストレスなどによりDNA修復がうまくいかないメカニズムなどがあります。


慢性微細炎症(インフラメイジング)によるテロメアの短縮

過度なスマホでのテロメア短縮には、長時間のスマホ首、運動不足、睡眠不足、ブルーライト、ストレスなどにより慢性微細炎症(インフラメイジング)が発生し、それを修復するために過度な細胞分裂が起こりDNAが複製される過程でテロメアが短くなるメカニズムが1つ考えられます。


DNAの複製は、DNA鎖の途中で何ヵ所も起きていますが、便宜上、端から端まで順番に起こると仮定します。


DNAは、塩基と糖とリン酸からなる「ヌクレオチド」という単位で連なってできています。
DNAのはしごの段にあたる部分は4種類の塩基からできていて、アデニンとチミングアニンとシトシンがペアになって水素結合しています。
その外側が糖(デオキシリボース)になっていて、リン酸がヌクレオチド同士を結びつける糊のような働きをしています。


糖(デオキシリボース)には5つの炭素があり、1番から5番までの番号が振れれ、5番目の炭素にはリン酸基が、3番目の炭素にはヒドロキシ基が結合していて、それぞれ5'末端3'末端と呼ばれます。
DNA鎖は、前のヌクレオチドの3'側に次のヌクレオチドの5'側が結合することで伸びていきます。
つまり鎖の端には必ず「リン酸基が余っている5'末端」と「ヒドロキシ基が余っている3'末端」ができます。


DNAを複製するには、まずは二本鎖になっているものをほどいて引きはがさなければなりませんが、このとき、二本鎖をほどいていくハサミの役割をしているのが『トポイソメラーゼ』、そしてそのほどいた二本鎖をちょうどジッパーのファスナーを開けるように開いていくのが『DNAヘリカーゼ』になります。
DNAが引きはがされ、一本鎖のDNAになっているまさにその最先端の部分を『複製フォーク』と呼びます。


一本鎖になったDNAの上には、これからDNA建築工事の足場となる『プライマーゼ』という酵素により『RNAプライマー』が置かれます。
RNAプライマーという足場ができたら、DNAを複製させていく『DNAポリメラーゼ』が、RNAプライマーの3'末端を起点にしてDNAをつなげていきます。
この時、この『DNAポリメラーゼ』がDNAをつなげていく方向は、必ず5'から3'へ向かった方向になります。


したがって、ほつれて1本鎖になったDNAは、片方は素直に5'から3'に向けてDNAがつなげられていきますが、もう片方は、ほぐれて1本鎖になったところに次々と足場であるプライマーが置かれ、そこから、前回置かれたプライマーまでの間を、DNAポリメラーゼが走り、DNAがつなげられていきます。


ほぐれていく方向と同じ方向でDNAが伸びていくほうを、リードしていく、先導していくという意味から『リーディング鎖』と呼んでいて、ほぐれていく方向と逆方向に、少しほどけてはDNAがつなげられていくほうを、遅れる・停滞するという意味でタイムラグのラグからとり『ラギング鎖』と呼んでいます。


二本のDNAができましたが、ラギング鎖の方は、途中いくつもプライマーがついている状態になっていて、プライマーから次のプライマーまでDNAがとぎれとぎれに合成されていて、この1つ1つが『岡崎フラグメント』と呼ばれています。


ラギング鎖のほうで残っている足場である『プライマー』は、DNAポリメラーゼにより新しくDNAが伸びてきて、その代わり『リボヌクレアーゼH』という酵素により足場はずしが起こり、プライマーがはずれて、DNAがつながった形になります。


しかし、最後のヌクレオチドのリン酸の部分は、『ニック』といって繋がれないまま残ってしまいます。
そこで、『DNAリガーゼ』というちょうど糊のような働きをする酵素が欠けていたリン酸部分の『ホスホジエステラゼ結合』を作り繋げてくれます。


一番最初にプライマーが置かれた部分も、プライマーがはずれますが、この部分は一番端なので、その前からDNAポリメラーゼによってDNAが伸びてきて補完されるというわけにはいかず、3'にはテロメアの部分が残っていますが、『エキソヌクレアーゼ』によりカットされ、テロメアが短くなります。


一方、3'側は、最後までDNAが作られるため平坦末端になりますが、このままだとDNAの切断部と勘違いされてしまうので、保護する必要があるため、3'側が少し出た『3'オーバーハング』になっている必要があるため、エキソヌクレアーゼやアポロといった酵素で削られる『リセクション』が起こり、テロメアが折り込んだ『Tループ』という結び目のような構造になります。


その結果、テロメアは両端で削られる形になります。


このテロメアには、『ヘイフリック限界』と言われる細胞が分裂できる回数の限界があります。
分裂を繰り返して身代わりとなるテロメアが使い果たされ、もうこれ以上は危険と判断されると分裂が停止されます。
この『ヘイフリック限界』は、ヒトの通常の細胞(体細胞)では、一般的に約50回前後と言われています。


活性酸素・酸化ストレスとテロメア切断

過度なスマホでのテロメア切断には、脳疲労、電磁波、睡眠不足、ブルーライト、ストレスにより、活性酸素(ROS)が大量に発生して酸化ストレスを引き起こし、テロメアの部分の塩基配列が切れてしまうメカニズムも考えられます。


テロメア部分の塩基配列は、TTAGGG(チミン、チミン、アデニン、グアニン、グアニン、グアニン)となっています。
大量に発生した活性酸素酸化ストレスにより、テロメアのグアニンの部分が酸化されて切れてしまい、テロメアが短くなってしまいます。


DNAを構成しているヌクレオチドには、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)がありますが、この中でグアニンは最も酸化還元電位が低く、電子を奪われやすく酸化されやすい塩基です。
そして、テロメアの部分には、そのグアニンが3つ連続した構造が並んでいて、電子が集まりやすく、酸化ストレス、活性酸素の攻撃を受けやすいスポットになっています。


グアニンの部分が酸化されると、8-オキソグアニンに変化し、結合が切断されてしまいます。
この切断により、一気に複数のテロメアが切断されてしまったりします。


<根拠論文>
Oxidative stress shortens telomeres
2002 Jul;27(7):339-44. doi: 10.1016/s0968-0004(02)02110-2.


DNAの修復とストレスとテロメア

スマホの過度な利用により、心理的ストレスによりストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、慢性微細炎症や活性酸素の他に、テロメアを修復する『テロメアーゼ活性』が著しく低下して、DNAの修復がうまくいかなくなるメカニズムがあります。


テロメアは、『テロメアーゼ』という修復RNAにより修復されましが、テロメアーゼは、一般的な体細胞では働かず、生殖細胞や幹細胞で働きます。


テロメアの対となる塩基配列は、AATCCC(アデニン、アデニン、チミン、シトシン、シトシン、シトシン)ですが、テロメラーゼでは、AAUCCC(アデニン、アデニン、ウラシル、シトシン、シトシン、シトシン)というテロメアをつくるための型をもったRNAになっています。


テロメラーゼは、自分の型から、DNAのテロメア部分(TTAGGG)を継ぎ足していきます。
このRNAの情報をDNAに書き込むことが『逆転写』になります。


逆転写により、テロメアが伸びたら、プライマーがついて足場となり、DNAポリメラーゼにより合成が始まってDNA鎖が伸びていきます。


心理的ストレスなどで、こうしたテロメアーゼの働きが著しく低下することで、十分にDNAが修復できずにテロメアが短くなってしまう原因になってしまいます。


これまでの仕組みについて、動画にまとめてみました。