花粉症による鼻水・鼻づまり、メントール入りノド飴を舐めるとスッキリする理由 | 健康トピックス

花粉症による鼻水・鼻づまり、メントール入りノド飴を舐めるとスッキリする理由 | 健康トピックス

桜の開花も間近にせまってくると、今まで飛散のピークを迎えていたスギ花粉の飛散も、だんだんと落ち着いてきます。
これで、やれやれと思ったら、交代してやってくるのがヒノキ花粉の飛散です。
そんな中、花粉症による鼻の症状を和らげるためにメントール入りの飴を舐めたりする人もいますが、その効果はどうなのでしょうか。

よく花粉シーズン、メントールが入ったノド飴ハッカ飴を舐めると、鼻の症状、鼻水や鼻づまりの症状がおさまったという経験はないでしょうか。
メンソールは、ハッカの主成分ですが、鼻炎薬でもないのに、一時的であるとはいえ、なんか薬よりも鼻の症状がおさまるし、即効性もあるしという疑問が出てきます。


抗ヒスタミン剤や抗アレルギー薬を飲むよりも、食品のノド飴で症状がおさまるならそのほうがいいと思ってしまうかもしれません。


メントール入りノド飴は、花粉症による鼻の症状を治すのか


結論を先に言うと、経験則からもわかるように、メントール入りのノド飴を舐めると一時的ではありますが、鼻が通った感じがして、鼻の症状はおさまります。


しかし、メントールは、冷感刺激によって三叉神経が刺激されて「鼻が通った感じ」になっているだけ、つまり一言でいうと、脳が「冷たさ」を「通気性の良さ」と勘違いしているだけなのです。


もちろん鼻炎薬や抗アレルギー薬のように、鼻水や鼻づまりの原因となっている鼻の炎症を抑えているわけでも、花粉やアレルギーの機構に作用しているわけでもありません。


とはいえ、花粉症で鼻の症状がひどく出てしまっているときとか、急場しのぎで当面どうにかしたい症状を抑えたいという時に、メントール入りのノド飴を舐めるというのは有効です。


しかし、根本的に治療をしているわけではなく、一時的にごまかしているだけで、鼻の症状をずっと抑えていたいからといって、一日中ノド飴を舐めているというのは、糖分・エネルギーの摂りすぎにもなってしまい現実的ではありません。


メントール入りの飴で鼻が通ったように感じるのはなぜ?

それでは、なぜメントール入りの飴を舐めると、鼻が通ったような感じになるのでしょうか。


鼻の中には、匂いを感じ取る嗅神経と、刺激・痛み・冷感などを感じ取る三叉神経の2系統の神経がきています。
メントールは、このうち三叉神経に働きます。


メントール入りノド飴で鼻が通る感じがする正体とは

私たちの鼻は、通常、空気が通ると、その気化熱鼻粘膜が冷やされます。
その物理的な冷たさを、鼻粘膜にあるTRPM8受容体という冷感受容体が感知し、三叉神経を通じて脳に「冷たい空気が流れているよ」という信号を送ります。
鼻粘膜にある冷感受容体のTRPM8(トリップ・エム・エイト)受容体は、感覚神経に存在する温度受容体で、主に23~26℃以下の「心地よい冷たさ」を感じたときに活性化します。
これが、脳が普段感じている正常な鼻の通気感の正体なのです。


それが花粉症などで鼻粘膜に炎症が起こり、腫れたりしてくると鼻水が出たり、鼻腔抵抗が高くなってきて、鼻づまり感がでてきてしまいます。
メントールはハッカやミントに含まれる成分で、メントール入りのノド飴を舐めると、実際には温度が下がっていなくても、TRPM8受容体が刺激されて「ひんやり」とした冷感を感じます。
これはメントール分子が、鼻粘膜のTRPM8受容体に結合することで、TRPM8受容体が開き、カルシウムイオンが移動して、三叉神経を刺激し、脳に刺激信号が送られるからです。


つまり、物理的な冷たさがなくても、メントールがTRPM8受容体に結合することによって受容体が開いて、「冷たい」という強力な信号が脳に送られるのです。


その結果、物理的な空気の通り具合は変わらないにもかかわらず、脳は「こんなに冷感があるなら、鼻はしっかり通っているはずだ」と誤認し、主観的な鼻通り感覚が劇的に改善するのです。
つまり脳が「冷たさ」を「通気性の良さ」と勘違いしているということになるのです。


また最近の研究では、高濃度のメンソールの場合は逆に「痛み」や「刺激」を感じさせる受容体である TRPA1 を刺激するため、メントールによって喉の不快感が和らいだり、咳を抑制したりする効果があるということが報告されています。
さらに、メントール入りノド飴の場合、また飴を舐めることで喉の潤いが保たれ、唾液が出ることから、それも喉の不快感のリセットに寄与しているのではないかと考えられています。


<参考文献・参考資料>
The effect of l-menthol on nasal resistance to air flow. Rhinology 21(3), 1983, 239–243


The effects of camphor, eucalyptus and menthol vapour on nasal resistance to airflow and nasal sensation. Acta Oto-Laryngologica 96(1-2), 1983, 157–161


The effect of L-menthol stimulation of the major palatine nerve on nasal resistance to airflow. Rhinology 29(3), 1991, 201–207


メントール入りノド飴では実際の気流・鼻腔抵抗は改善されない

一方で、メントールは実際の気流(鼻腔抵抗)は変化させません。
鼻づまりの主な原因は、鼻粘膜の血管が拡張して腫れること、つまり充血や分泌物の増加からきています。
市販の点鼻薬に含まれているステロイド薬で鼻粘膜の炎症を抑えたり、血管収縮薬で血管を収縮させて通り道を広げることにより症状がおさまっていきます。
メントールには血管を収縮させる薬理作用はほとんどありません。
実際に鼻の空気の通り具合をみるためにライノマノメーターという鼻腔抵抗測定装置を使って計測しても、メントールによって物理的な空気の通り具合に変化は見られません。


関連動画(内容をまとめ、動きをつけてわかりやすくしています)